ただ恋愛を、間違えただけ。
「ううん、後少し残るんだー」
嘘つきだ。
『…ん、分かった。じゃあな』
香月は教室から出て行った。
その瞬間、もう本当に自分が嫌になってしまった。
(バカ、バカ……っ)
あーもう、泣けてくるじゃん。
なんで、こうなるの?
……香月を好きになんなきゃ良かった。
告白なんて考えなきゃ良かった。
『待って!拓真!』
湯川ちゃんみたいにあたしは、
香月のことすら名前で呼べない。
恭は恭なのに。
香月だけは名字だった。