ただ恋愛を、間違えただけ。
「……俺、人前嫌いなんだけど……」
ボソッと小さな声で言う。
正直、ほんとに好きじゃない。
『そうなの?』
俺と松川の目が合う。
それを先にそらしたのは俺だった。
「……声、低くて暗いし」
ちょっと普通よりは低い。
だから少し愛想のないように感じられる。
『………私は好きだけどな、その声』
少し小さめの声で呟く。
なんだよ、それ………。
俺の視線にまた気づいたのか、
パチッとまた目が合う。
『……へへ』
今回はお互い目をそらさず、
松川は笑う。
………あぁ、もう。