『土方大明神』
静寂と女の子の吐息…そしてチッと舌打ちして空を見上げる男の顔がぶち破られた屋根からそそぐ月の光になぞられて美しく映った。
「………あ…あ…。」
あまりの絶望感と恐怖で声が出ないまま女の子はその男の腕にかけるように吊られたまま声をもらすとゆっくり身体を床に下ろした。
「―――髪は女の命だってのにな…。」
絡みついた先をほどき同点している女の子の前に髪を差し出した。
「お前……名前は……?」
低温の声が闇にはえて心地よく聞こえボッーとしたまま女の子は答えた。
「たまき…。
近藤…珠希…。」