蜜月クライシス!【BL】
 
「声が聞こえる」


 声を潜めた彰那は、慎重に咲都の部屋へと近付いていく。


「咲都と……神宮?」


 怪しむ彰那に対して、晶はとにかく今すぐ咲都に逢いたい、という気持ちが募りに募っていた。

 ドアノブを握ろうとする晶を制して、彰那は彼を睨み付ける。


「なんで止めるんだよっ。高槻だって神宮くんに逢いたいだろ」

「少しは冷静に考えてみろよ。何でわざわざ鍵なんかかけて神宮と部屋に籠もってるんだよ」

「高槻のテスト対策でも練ってるんだろ。鍵かけたのはお前に邪魔されない為!」

「怪しいとは思わねぇのかよ」

「何がどう怪しいんだ。俺は咲都を疑ったりしないぞ」


 段々と声が大きくなっていく晶の口を手で塞いで、彰那は扉に寄り添って聞き耳を立てた。
 
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