クールなキミとの恋模様


「ほんと、久しぶりだね。元気だった?」


「おう、まぁな。なつは?って、聞かなくても元気そうだな」


「あはは、まぁね」


スラッとした長身に、モデルのような長い手足。制服をピシッと着こなして、いかにも優等生なしんちゃん。



さらさらの黒髪が爽やかさを強調していて、派手なあたしとは全くもって正反対。



頼りがいがあって優しい上に、明るくて男女問わず人気がある。



マジメで誠実で、ウソがつけないまっすぐな人。


上辺だけで人を見ないで、ちゃんと中身に目を向けて接してくれる温かい心の持ち主。



「美雨(みう)がなつに会いたいって言ってたぞ。連絡来ただろ?」



「あー……うん。来てた、かな?」



しんちゃんの口から出たその名前に、胸がズキンと痛んで次第に笑えなくなる。



「返事してやってよ。あいつ、なつから返事が来ない〜って寂しがってたから」



ーーズキンズキン


胸が……苦しい。



「……あ、うん。最近忙しくてさ」



なんて、言い訳をするバカなあたし。



本当は忙しいんじゃなくて、避けていたからなんだってことは絶対に言えない。



胸の奥に隠した気持ちも、しんちゃんの言葉に泣きそうになっていることも、美雨に会いたくないんだってことも。



なにも……なにひとつ。


本音が言えない。



だから……好きじゃないんだってば!


なんでここまで落ち込むかな。


いい加減忘れなきゃ。


やめなきゃ。


想っていても、ツラいだけの恋なんて。


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