クールなキミとの恋模様
好きじゃ……ないもん。
何度も何度も自分にそう言い聞かせて、なんでもないフリをする。
こんな風に本音を隠して笑うようになったのは、きっと中学の卒業式からだ。
「俺たち、付き合うことになったんだ」
しんちゃんの口から衝撃の事実が告げられた、あの日。
親友だった美雨と生まれた時からの幼なじみだったしんちゃんが、両想いだと知った……あの日。
幸せそうに笑うふたりから報告を受けた時、泣きそうになるのを必死に堪えて笑顔で祝福した。
おめでとうなんて思ってもいない言葉が、勝手に口から出ていた。
「いつからー?」
「どっちから告白したのー?」
なんて、知りたくもないことがポンポン口から出てきて、自分の笑顔が引きつっていることに気づいたけど止まらなくて。
からかうたびに顔を真っ赤にさせて答えるしんちゃんを見ていたら、涙があふれそうになった。
どうして……?
なんで美雨なの……?
ずっと好きだったんだよ?
お願い……こっちを見て。
言えない言葉の代わりに、ただただ唇を噛みしめることしかできなかった。
その時からあたしは本音を隠すようになって、胸に秘めたこの気持ちを誰にも話せずにいる。
好きじゃないと言い聞かせて、ムリに諦めようとして来たけれど。