クールなキミとの恋模様
「なつ?」
しんちゃんの声が聞こえてハッとした。
どうやらボーッとしちゃっていたみたい。
「えっ?あ、ごめんごめん」
「しっかりしろよ、これだからなつは」
柔らかいしんちゃんの笑顔に胸が高鳴る。
昔からしんちゃんのこの笑顔が大好きだった。
胸が熱くて……苦しいよ。
しんちゃん。
その時、周囲から突き刺さるような視線が向けられていることに気付いた。
あたしみたいな奴としんちゃんが一緒にいるのが、不釣り合いとでも言いたいんだろう。
「また男漁ってるよー」
「本当だ。よくやるよね」
なんて冷ややかな声が聞こえて振り返ると、桐谷軍団の不良グループの取り巻きの女子と目が合った。
あの人、知ってる。
隣のクラスの子だ。
体育の授業が同じでよく目にする。
男漁ってるとか。
不良グループに取り巻いてるあなたに、そんなこと言われたくないんだけど!
そう思ったけど、面倒なのでプイと顔をそらした。
気にしない、気にしない。
気にしたら負けだもん。
「じゃあ、戻るね!」
食券を買う順番が来たのでしんちゃんに手を振って真央の元へ戻り、券売機にお金を入れてボタンを押した。
そして、カウンターへ行こうとした時。