クールなキミとの恋模様
「知ってる」
ボソッと呟かれた言葉。
「こんなところに突っ立ってて悪かったな」
「え……?」
桐谷が謝った……?
「なんだよ?」
「い、いや、なんも」
だってまさか、自分の非を認めるなんて。
いかにも俺様系でプライドが高いと思っていたから、意外な反応にビックリしたっていうのが本音。
「変な奴」
唇の端を小さくあげてフッと笑った桐谷は、そう言い残して去って行った。
周りの男友達や取り巻きの女子たちも桐谷に続く。
ホッ、やっと解放された。
「ちょっと小夏〜!今のはなにぃ?」
「な、なんでもないよっ」
「そんなことないでしょ。真央が見る限りでは、桐谷くん笑ってたしぃ」
「あれは笑ったとは言わないでしょ」
ほくそ笑む、のまちがいじゃない?
「まぁ、いいけどぉ。あ、奈子が手を振ってくれてるよぉ。行こっ」
注文したものをカウンターで受け取ると、奈子が確保してくれた席でそれを食べた。
食べ終わった時にはすでに桐谷の姿はなく、取り巻きの女子たちも消えていた。