クールなキミとの恋模様
なんでよりによって桐谷とペアになっちゃうかな。
絡みにくいったらありゃしない。
もう関わりたくなんかなかったのに……。
神様ってあんまりだ。
ど、どうしよう。
最悪なんだけど。
真央が羨ましそうにあたしを見て来たけど、それをスルーして桐谷がいる場所まで向かう。
なんだか足が重い。
気分もどんより沈んでしまう。
せめて女子同士が良かったよ。
美術室は自由席だから、桐谷は後ろの方でいかにも不機嫌なオーラを醸し出しながら座っていた。
スケッチとかきちんとするようなタイプには見えないし、正直声をかけにくい。
「えーっと、あの」
そう言うと、桐谷はゆっくり俯かせていた顔を上げた。
返事の代わりにまっすぐな視線があたしを捉える。
「あたしたち、ペアだし。とりあえず移動しない?」
「…………」
無表情でなにを考えているかわからない桐谷は、小さなため息をついたあとに、ゆっくりと立ち上がった。