クールなキミとの恋模様
「ちっ」
ダルそうにすぐ顔を上げた桐谷は、舌打ちしてから渋々スケッチブックを開いた。
そして、じっとあたしの顔を見つめる。
キリッとした涼しげな目元に落ちる長い影。
まつ毛、ながっ。
「さっさと座れよ」
向かい側の席を顎で指し、偉そうにそう命令する桐谷。
「わ、わかってるよ」
ムッとしながらも黙ったまま席に着き、同じようにスケッチブックを開いてペンケースから鉛筆を取り出す。
ほんとどこまでも失礼な奴。
こうなったら、さっさと終わらせて美術室に戻ろう。
桐谷も早く終わらせたいだろうし、余計なことは言わないようにしなきゃ。
「つーか、あいつの前とはえらい違いだな」
「えっ?」
突然そんなことを言われて、ワケがわからずに首を傾げる。
あいつ……?
「好きなんだろ?あいつのこと」
「は……!?」
いきなり何を言い出すのかと思えば。
あいつって誰?
好きってナニ?
突拍子のない質問にますます首を傾げる。