クールなキミとの恋模様


ワケがわからない。


仲が良くもない桐谷に、どうしてそんな深いツッコミをされなきゃならないのよ。



「この前、英和辞典かしてた爽やかヤローのことだよ」


「えっ!?」



ギョッとして目を見開く。


英和辞典をかした爽やかヤローって……!


しんちゃんのこと!?



数日前のことを思い出して、顔から血の気が引いて行く。


確かあの時……桐谷に全部見られてたんだっけ。


いや、でもまさか。


それだけで好きだとか思われるはずないよね。


勝手に言ってるだけだよ。


真に受けちゃダメ。



「あいつの前では借りてきた猫みたいに大人しかったし。それにーー」


悪魔がニヤリとほくそ笑んだ。


女子にはめったに見せないという桐谷の笑顔は、どう見てもなにか良からぬことを企んでいるような……。


「あんだけ真っ赤になってんのに、気づかない方がおかしいだろ」



目の前がクラクラして、思わず倒れそうになる。


な、なんで……よりによって桐谷に。


ウソだ。


なんで?


ありえないよ。


……最悪だ。


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