クールなキミとの恋模様


「ま、認めようが認めまいがどうでもいいけど。バラされたくなかったら」



そう言って不敵な笑みを浮かべる桐谷は、否定の言葉なんて聞こえていないかのように言葉を続ける。




「俺の彼女になれ」




…………!?



は、はぁ……!?


彼女……?


桐谷の……!?


あまりにも突拍子なワードにハテナが浮かぶ。



「どういう……意味?」


バラされたくなかったらって、そもそも、しんちゃんを好きだって認めてないしっ。


勝手に決めつけないでよ。


「そのままの意味だろ。頭悪いのかよ?」


「なんで?冗談でしょ!?」



頭が悪いのは桐谷の方じゃん。


いきなり彼女になれだなんて、まったくもって意味がわからない。


それに、ありえないしっ!!


大体、桐谷があたしのことを好きだとは思えない。


なんの目的があってそんなことを言うの?



「勘違いすんなよ、ただの女よけの為の彼女だし」


お、女よけ?


「なんであたしがそんな役をしなきゃなんないのよ!」



そんなの、桐谷にとって都合が良いだけじゃん。



「ふーん。バラしてもいいんだな?」


「だから、好きじゃないって言ってるでしょ」


「そこまで言うなら、そういうことにしといてやってもいいけど。真っ赤になってたこと、あいつに話したらどう思うだろうな」


「……っ」



そう言われたら、なにも言い返せない。


真っ赤になっていたのは事実だし、もしそれをしんちゃんに話されでもしたら……。


カンの鋭いしんちゃんのことだから、なにかあると思うに決まってる。


そんなの……嫌だよ。


しんちゃんにだけは、この気持ちを……。


知られたくない。


< 30 / 383 >

この作品をシェア

pagetop