クールなキミとの恋模様
桐谷のことだって良く知らないのに、そんなことをしたらボロが出るだけだもん。
それに何よりも、しんちゃんには知られたくない。
「じゃあスケッチは諦めるんだな。マジでソッコーあいつのクラスにも行くし」
「……うっ」
な、なんでそうなるのよ。
鬼っ!
悪魔!
「じゃあな」
あたしのことなんて気にも留めずに、ひらひらと手を振りながら桐谷は教室を出て行こうとする。
ひ、卑怯だ。
そんな風に脅すなんて。
最低すぎる。
悔しくて唇を噛み締めた。
そして大きく息を吸い込んだ後、覚悟を決めて一言叫んだ。
「ま、待って!」
納得出来なかったけど、これ以上成績を下げたくない。
それにしんちゃんに変なことを言われるのも嫌だ。
こんなのは桐谷の思うツボ。
そんなことは十分理解している。
でも……でもっ。
「わかった……彼女に、なる」
イヤイヤながらも、その交換条件を受け入れるしかなかった。
ピタリと足を止めた桐谷は、あたしの方を振り返って不敵に笑って見せる。
まるで、あたしがそう言うのをわかっていたみたいに。