クールなキミとの恋模様
偽りのカレカノ
「はぁ」
これで何度目のため息だろう。
桐谷の彼女のフリをするようになってから一週間。
あたしの学園ライフは、目まぐるしいほど変化していた。
「また来てるよ〜!いい加減にしてほしいよねぇ」
教室の外に群がる女子の集団を見て、真央が呆れたようにため息を吐く。
廊下から感じる鋭く尖った女子からの視線は、桐谷じゃなくて全部あたしに向けられている。
明らかに敵意のこもった目で、ヒソヒソ言われてるし。
痛い。
痛すぎる。
そんな目であたしを見ないでよぉ!
「なんであんな子なの?」
「桐谷くんと釣り合ってないし!」
「あの子って相当遊んでるんでしょ?彼氏が何人もいるとか」
「桐谷くん、ダマされてるんじゃないの?」
あたしと桐谷が付き合っているというウワサは、瞬く間に学年中に広まった。
ただでさえ陰口を言われてたのに、さらに悪目立ちするようになって、みんなが好奇の目で見てくるから居心地が悪いことこの上ない。
「ほんと嫌だよね〜!もっと可愛い子他にいるのにっ」
う。
ヒソヒソ言ってるつもりなんだろうけど、丸聞こえだからね?
こうなることは目に見えていたけど、やっぱり目の当たりにするとツラい。
「気にすることないよぉ、小夏にはうちらがついてるし」
「そうそう。しょせん集団でしか動けない人たちなんだから」
真央と奈子には事情を打ち明けたから、毎度のことながらこうやって励ましてくれる。
ああ、今のあたしの支えはこのふたりだけだよ。
「うぅっ、ありがとう」
いつもいつも、本当に感謝しかない。