クールなキミとの恋模様


「あー、桐谷ね。別にいつもと変わらないよ。なんもない」



毎回聞かれるけど、なにもないから返事もいつもと一緒。


隣の席だからって、よく知りもしない人のことを聞かれるのは困りものだ。


一切興味がないし、桐谷がいちいちなにをしているかなんて知ったことじゃない。


「えー、せっかく隣の席なんだからさぁ!もっと接点持とうよ〜!」


「やだよ。興味ないもん」


「え〜!」


隣の席の桐谷とは、話したこともなければ、目さえ合ったこともない。


いわばなんの接点もない人。


それなのに接点を持てと言われても困るんだけど。


むしろ、苦手な部類だし。



「いいなぁ、席が隣だなんて羨ましすぎだよぉ」


「頑張って話しかけてみれば?」


「えぇ!?ムリムリィ〜!真央、意外と意気地なしだからぁ」


「よくそれであたしに接点持てとか言えるよね」


「だってぇ」



真央は桐谷に興味深々といった様子。どうしてもお近づきになりたいらしい。


でも、自分から話しかける勇気はないっておかしくない?


奈子は途中で興味がなくなったのか、話しに乗って来なくなった。


自分から話を振っといて無責任だと思うけど、奈子のこういうところは嫌いじゃない。



「それにしても……桐谷のどこがいいの?」


「そんなの顔に決まってるじゃ〜ん」



ははっ。


顔ね。


真央のこういう正直なところも嫌いじゃない。


はっきりしてて、むしろ清々しいくらい。


< 4 / 383 >

この作品をシェア

pagetop