クールなキミとの恋模様
「あー、桐谷ね。別にいつもと変わらないよ。なんもない」
毎回聞かれるけど、なにもないから返事もいつもと一緒。
隣の席だからって、よく知りもしない人のことを聞かれるのは困りものだ。
一切興味がないし、桐谷がいちいちなにをしているかなんて知ったことじゃない。
「えー、せっかく隣の席なんだからさぁ!もっと接点持とうよ〜!」
「やだよ。興味ないもん」
「え〜!」
隣の席の桐谷とは、話したこともなければ、目さえ合ったこともない。
いわばなんの接点もない人。
それなのに接点を持てと言われても困るんだけど。
むしろ、苦手な部類だし。
「いいなぁ、席が隣だなんて羨ましすぎだよぉ」
「頑張って話しかけてみれば?」
「えぇ!?ムリムリィ〜!真央、意外と意気地なしだからぁ」
「よくそれであたしに接点持てとか言えるよね」
「だってぇ」
真央は桐谷に興味深々といった様子。どうしてもお近づきになりたいらしい。
でも、自分から話しかける勇気はないっておかしくない?
奈子は途中で興味がなくなったのか、話しに乗って来なくなった。
自分から話を振っといて無責任だと思うけど、奈子のこういうところは嫌いじゃない。
「それにしても……桐谷のどこがいいの?」
「そんなの顔に決まってるじゃ〜ん」
ははっ。
顔ね。
真央のこういう正直なところも嫌いじゃない。
はっきりしてて、むしろ清々しいくらい。