クールなキミとの恋模様


あたし達が並んでいる列の前方から、見慣れた顔がひとつだけこっちを向いていた。


爽やかな黒髪。


いつもと変わらず、優しく微笑んでいる彼。



ーードキン



一気に体に熱がこもった。



一年生の時は隣のクラスだったけど、二年生になってからはさらにクラスが離れ、教室も遠くなって廊下ですれ違うことすらなくなったから、こうして顔を合わせるのはかなり久しぶり。



真央に「ちょっと行って来るね」と声をかけて、優しく微笑むその人の場所まで駆け寄った。



「珍しいね、しんちゃんが学食だなんて」



「母さんが寝坊して、弁当が間に合わなかったんだ」



「あは、おっちょこちょいなおばさんっぽい!」



「はは、だろ?それにしても、会うの久しぶりだな」



そう言ってニコッと笑うのは、青少年風の爽やかなイケメン幼なじみの小角 慎也(こかど しんや)。


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