方言男子に恋をした
「姉ちゃん」

「何？」

「昨日綾音から電話があってさ」


綾音とは祐介の彼女である。
会社の後輩だそうで、一度だけ会ったことがあるが優しそうな子で祐介とお似合いだなと思ったことがある。


「うん」

「…子供が出来たって言われた」

「…え？えぇ！？」

「姉ちゃん声大きいって！」


小声で叱られ、私は口元を押さえて縮こまった。

いやでもね！誰でもそんなこと言われたら叫びたくなるわよ！
たとえ当事者じゃなくても。


「祐介は何て言ったの？」

「まず理解するのに時間かかって…で、嬉しくないの？って聞かれて答える前に切られた」

「あー…」


こればかりはどっちが悪いともいえない。
急にそんなこと言われたら誰でも焦るし、ましてまだ結婚してないもんね…心の準備とか出来ていないはずだ。
それは綾音ちゃんだって同じことだし、きっと祐介より何十倍もの不安を抱えているだろう。

妊娠も出産も経験のない私には、未知の世界だがそれぐらいは分かる。
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