方言男子に恋をした
気付かぬうちに古川部長が、新しい課長をフロアに入れたらしい。

人がいつにまして重なり合っていたので、私は体を曲げながら新しい課長を見ることとなった。


あ、あれかな?
見たことないしきっとあの人よね。

グレーのスーツを着こなした高身長の男性。
眼鏡をかけていて、整った顔立ち。
特に鼻が普通の日本人に比べたら高い。

しかし何より印象に残ったのは、黒いふわふわとした髪の毛。
高い身長でもなく、整った顔立ちでもなく。
理由は特にないんだけど。

ふわふわしてるわねー…平沼君もふわふわの髪だけど、色が違うもんね。

…ん?ちょっと待って。

なんかつい最近、同じようなことを思ったような気がするんだけど…えっと…。


「あ、」


思わず呟いてしまった。
横に立っていた美宇ちゃんに不思議そうな顔で見られたけど無視。

何より重要なことに気付いてしまったのだ。

まさか…まさかここまで、漫画的シチュエーションが再現されるとは、


「社内広報課の新しい課長、佐久間君だ」


一夜を過ごした京都弁の彼が、自分の上司になるとは思ってもいなかった。
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