方言男子に恋をした
「ーーやっとその気になりましたか」


閉めたはずの扉が開いていて、そこには腕を組んで嫌味ぽく微笑む佐久間課長がいた。

今日からでも立派な社内課の課長だし、この場に参加するのは理解できる。

しかしですね…そんな嫌味ぽく微笑んで言う意味は理解できないわ。


「まあ気付いたことですし、良しとしましょうか」


微笑みを絶やさず言う佐久間課長。

その微笑む姿の後ろに何か黒いものが見えるのは私だけだろうか。
そしてその黒いものが、会ってまだそんなに経っていないのに、これだけ頻繁に見えるのも私だけだろうか。


「…締め切りを延ばしてもらえるってことですか?」


美宇ちゃん…そんな課長を睨みつけなくても。

余程、美宇ちゃんは佐久間課長のことが気に入らないらしい。


「えぇ…しかし通常業務もありますし、今月は社外課から応援要請もありますから、あまり延ばせませんよ」

「応援要請?課長、初耳なんですけど」


平沼君が先生に質問をする子供みたいに手を上げた。

しかし私も思わず手を上げて質問しそうになった。
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