方言男子に恋をした
6.大事なところを抜かさないで下さい
何故か佐久間と帰ることになってしまってから一夜が明けて。
私を含めた社内課メンバーは昨日もいた小部屋に集合していた。
昨日作り上げた企画書を見つつ最終どうするのか、変える必要のあるところはあるのかなどについて話し合っていた。
かなりのスピードで練って作り上げた企画書だから、変えるべきところはたくさんあるだろうが。
ちなみに佐久間は後ほど様子を見に来るそうで今は不在である。
「んー何かありますか?」
美宇ちゃんの声を聞きながら、私の頭の中は別のことを考えていた。
佐久間って何で業務時間内とそうではない時に、口調やイントネーションを変えているんだろう?
昨日の夜、突然訪れた時は敬語じゃなかったしイントネーションだって違っていた。
でも業務時間内である今は敬語だし…。
何か特別な理由があるとか?
それか、ただ単にオンオフを切り替えているとか…。
「詩織先輩聞いてます?」
「え、あ…ごめんなさい…」
全く聞いていなかった私は素直に謝った。
…ええ、各々の反応はあらかた予想出来たわよ。
「男ですね」とヒソヒソ言い合う美宇ちゃんと平沼君。
「大丈夫ですか?」と本気で心配してくれる小林君。
考え事をしていた私が悪いけど、お二人さん失礼ではありません?
確かに当たっていますけど。
大当たりですけど。