方言男子に恋をした

結局打ち合わせで決まったのは、社内広報課の新課長と常務取締役についてインタビューなどをするということ。

後は先月号のネタをシリーズ化して埋めようという適当さ加減で終わってしまった。

私自身もう少し詳しくまとめたかったが、部長に呼ばれ断念。
3人に業務を伝えて、呼ばれた小会議室に向かった。


広報部長である古川部長が既にイスに座っていた。


「お待たせして申し訳ありません」

「いや、こっちこそ急に呼び出して悪かった」


広報部長10年の古川部長。
50代前半だが何か運動をしているのか、体はしまっている。
また声のトーンに渋味があるらしく、ダンディー好きの女性社員から人気がある。

私の場合好きとか嫌いとかではなくて、古川部長は苦手だ。
古川部長にジッと見られると、恐怖でいっぱいいっぱいになる。

誤解はダメだとは思うが、どうしても苦手だと感じてしまう。


「松田さん?」

「あ、はい!」


いけないいけない。
古川部長の前でボーッとしていた。

頭から雑念を追い出して、古川部長に意識を集中させる。
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