お山のてっぺん。
「な、何してんの?」
「決まってるでしょ、場所変えるの」
きゅ、と丁寧に結んで。
「…バレちゃったんだもの」
悲しそうに会議室を見回して、扉を目指し始めた。
…出ていこうとしている。
そう気づいた俺は、どうしようもない罪悪感に教われた。
「待てっ」
腕をつかんで彼女を止める。
思いの外細くて、おれそうで。
ちょっとビビったけど、力は緩めなかった。
名前すら知らない彼女だけど。
俺のせいで彼女の居場所を奪ったんなら、とても申し訳ない。
だから。
「誰にも言わないから!」