お山のてっぺん。
「ありがと」
これなら迷わずに帰れる。
右に行って左なんて簡単簡単。
俺ですら行けそうな感じに、なんかワクワクする。
と。
「…どこ行くのよ」
冷えた声が部屋に響く。
「え?」
今さらなんの用だ?
振り返ると、不機嫌に頬を膨らませた白龍が。
不服、とでも言いたげな――
「私はあなたを信用してないの。
だから行かないでよ、勝手に」
「……」
驚いた。
白龍がこんな可愛いこと言うとは思わなかったから。