終わらない七月九日
「ほら彰太~お兄ちゃんの友達に挨拶しなさい~。」

飯沼はその男の子に言った。

「初めまして、飯沼彰太です。」

彰太はしっかりと右手をボートの縁に握りしめながら、ぺこりと頭を下げた。私たちも会釈をする。幼いながらも彰太はしっかりとしていた。

「しかしテスト終わりに公園でデートかい?」

飯沼は話しかけてきた。

「君を発見して僕も思わずボートに乗ったんだ!でも本当に工藤君が羨ましいよ~。僕は弟の面倒を見なきゃいけないからさ!」

飯沼の言い方は嫌味っぽい。
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