終わらない七月九日
「行くか。」
ナツはそんな飯沼の顔を見もせず、ボートを漕ぎ始めた。
「ちょっとちょっと!無視はひどいんじゃないかな!」
そう言いながら何故か私たちの後を付いてくる飯沼。
「 勿論兄が弟の面倒を見るのは当たり前さ!でも僕の両親は忙しいだろ? そう言えば、彰太は大きくなったらパパみたいな立派な刑事になるんだよな!なっ!彰太!!」
飯沼の父親が刑事だということは、本人の口から何度も聞いていたが、それにしても聞いてもいないことをベラベラと喋る飯沼に、嫌気がさしていた。私は彰太を不憫に思い振り返った。
彰太は風船を揺らしながら、片手で必死にボートにしがみついていた。
「ところで飯沼君って何でナツに付いてくるんだろうね?」
大ちゃんがナツに聞いた。私も顔を戻し、ナツの方を見てみた。
「さぁな。あいつ変わってるし。」
ナツは嫌そうな顔をして、そっぽを向いてしまった。
「でもさ、」
大ちゃんが何かを話しかけたとき、後ろで飯沼の叫び声がした。
ナツはそんな飯沼の顔を見もせず、ボートを漕ぎ始めた。
「ちょっとちょっと!無視はひどいんじゃないかな!」
そう言いながら何故か私たちの後を付いてくる飯沼。
「 勿論兄が弟の面倒を見るのは当たり前さ!でも僕の両親は忙しいだろ? そう言えば、彰太は大きくなったらパパみたいな立派な刑事になるんだよな!なっ!彰太!!」
飯沼の父親が刑事だということは、本人の口から何度も聞いていたが、それにしても聞いてもいないことをベラベラと喋る飯沼に、嫌気がさしていた。私は彰太を不憫に思い振り返った。
彰太は風船を揺らしながら、片手で必死にボートにしがみついていた。
「ところで飯沼君って何でナツに付いてくるんだろうね?」
大ちゃんがナツに聞いた。私も顔を戻し、ナツの方を見てみた。
「さぁな。あいつ変わってるし。」
ナツは嫌そうな顔をして、そっぽを向いてしまった。
「でもさ、」
大ちゃんが何かを話しかけたとき、後ろで飯沼の叫び声がした。