終わらない七月九日
「彰太~っ!!」

私は勢いよく振り返った。私たちから少し離れた所にいた飯沼は、ボートの上から湖に向かって手を伸ばしていた。そしてその手の先には、湖の上で必死にもがく彰太の姿があった。

「彰太君が落ちた!!」

私たちは顔を見合わせると、大ちゃんが靴を脱ぎ、湖に飛び込んだ。
溺れている彰太に近づく大ちゃん。後少しで辿り着くというところで、彰太が湖の中へ沈んだ。

「彰太ー!!彰太ー!!」

飯沼は公園中に響き渡るような声で、彰太の名を呼んだ。大ちゃんが湖の中へ潜る。私はただそれを見守ることしか出来なかった
< 28 / 34 >

この作品をシェア

pagetop