終わらない七月九日
「ぷはぁっ!!」

それはすぐのことだった。大ちゃんの体が湖から勢いよく出てきて、飯沼のボートを掴んだ。そして大ちゃんの片腕には、

「彰太っ!!」

飯沼は急いで手を伸ばし、大ちゃんの腕の中で全く動かないでいる彰太をボートの上へ引き上げた。

「大丈夫ですかっ?!」

その光景を見ていたと思われる若い女性が、近くの岸から声を掛けてきた。

「今救急車呼びますね!!」

その女性はスマホを取りだし、電話を掛けてくれた。その間飯沼は、ボートの上でただただ呆然としていた。

「飯沼!岸に上がれ!!」

ナツが飯沼に向かって呼び掛けた。その声にようやく反応する飯沼。

「君たちのせいだ!!」

飯沼が突然、私たちに向かって吠え始めた。
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