七色マーブル【短編集】
それからお決まりの様に話題は昔の思い出話へとなだれ込む。


「そう言えば韮沢編集長と飲んでた時もさぁ。」

「懐かしいなぁー。」


距離を利器が、時間を思い出が埋め、私達まるであの頃の様に笑い合う。


私や彼女が自身であり続ける限り、いつでもあの頃に戻ってしまう。


タイムマシーンなんて不要、そこには緩やかに暖かい空間がある。


とても貴重。


歳を重ねれば重ねるほど、何の利害関係もなく話が出来る人間と出会える確率は低くなると思う。


そして何かに対してじたばた出来る情熱、時間的余裕もまた然り。


あの時はまだ、何も分かっていなかったけど。


今なら分かる。



だから幸せ。


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