七色マーブル【短編集】
【第1の悩み事】


「あの…私、同時に7人の男性を好きになってしまったんです!」


そう言い放ち、立ち上がった少女の後頭部で、束ねられた栗色のしっぽがぴょん、と飛び跳ねた。


「…若さとはエネルギッシュだね。」


金髪の初老は目を丸くしながら、うっすらと伸びたあご髭を触る。これは彼が驚いた時に見せる仕草である。


「若さとか、そんなんじゃありません!私は、私は本当に7人全員を愛してるんです!」

「まぁまぁ、落ち着きなさい。ほら…まずは座って。」

「…すいません。私ったらつい興奮して…」


少女は申し訳なさそうにしながらソファーに腰掛け、テーブルに出された紅茶を1口すすった。


「自分でもおかしいってわかっているつもりです。でもこの気持ちに偽りも、邪な心も全く無いんです!教授、私一体どうすればいいのでしょう…?」


少女の眼差しは1点の曇りもなく、真剣そのものである。


「ほう、それは大変だね。とりあえず詳しく話してみなさい…」

「はい、ありがとうございます。実は…」


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