七色マーブル【短編集】
【助手、カーラ】


「で、どうだったんです?」


助手であるカーラが、シャーレでP・クリソゲヌムの培養作業をしながら聞き返した。


「彼らは互いに愛しあっていたんだよ。偶然にも僕にバラバラに相談しに来てたがね。」

「は?人数の辻褄が合いませんよ。」


カーラがくるりと振り返ると、腰まである金髪がゆるい円を描き、ムスク系の香水がふわりと教授の鼻腔をくすぐった。


「カーラ、目に見える物が全てではないよ。…彼は多重人格者なんだ。」

「え?…じゃあ彼女もそれを知ってて…」

「そう、だからこそ悩んだ。彼女は1人だけではなく7人全員を愛してしまった事を。そして彼は7人全員で彼女1人を愛してしまった事をね。」

「……。」


カーラは薄い小さな唇をキュ、と結び黙り込んだ。


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