七色マーブル【短編集】
道から道へ、人通りの多い方へと移動する。

週末の夜ともなれば人々は浮かれ面を下げて街を覆う。人ごみに紛れては路地へ抜け、また大きな通りに戻ったりと攪乱させる。用心を重ね適当に店へ入った。


「あら…いらっしゃいませ。」

店員が微妙な面をしてやがる、ん?チキショウ…ここで慌てては男が廃る。

「ふふ…男がこんな所に来るのが可笑しいかい?妻へのプレゼントだよ。65のDで真っ赤な奴あるかな?」

「うふふ、これなんてどう?ガーターベルトも付いていてセクシーよ」

「ふ…ん…それを貰おうか」

…いかん、思わず装着姿を想像してしまった。


視線は感じない…が油断してはいけない。店を出て細心の注意を払いながら目的地へと急いだ。


俺には時間がない。


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