七色マーブル【短編集】
教授はそっと、カーラを刺激しない様にゆっくりと話しかけた。


「なぁ、僕の可愛いカーラ。お願いを聞いてくれないかい?」

「うー、何よう?」


少し落ち着きを取り戻したのかカーラは地団太を止め、教授をじっと見つめた。


「今日はもう遅いから止めにしよう。片付けは僕がやるから、先に帰って夕食の準備をしてくれないかな?ミートローフとそら豆のスープが食べたいな。カーラが作ったのはどんな高級レストランのよりも美味しいよ。」

「…貴方がそういうなら…早く帰って来てね。」


カーラは嬉しさを先程の不機嫌さで照れ隠ししながら、足取り軽やかに研究室を後にした。


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