七色マーブル【短編集】
「ななな、何だったんだー!」


あまりの不可解な出来事に呆気にとられ、尻餅をついたまましばらくポカーンとしていたが、気がつくと僕の額からは冷や汗が流れていた。


雨はもうすっかり上がっていた。


軽く汚れたズボンを振り払いながら僕はどうにか立ち上がった。


視線の端にあった沼について説明されている看板を読むと、こう記されていた。



『支考沼(しこうぬま)。各務支考(かがみしこう)は江戸時代前期~中期に活躍した俳諧師で、松尾芭蕉の高弟子であり、時雨煮を名付けたとされている。が、芭蕉が名付けたと思われている事が多く…以下略』



うーん…あれは各務支考の無念が生んだ妖怪だったのだろうか…?


< 38 / 71 >

この作品をシェア

pagetop