七色マーブル【短編集】
「…なんて事になったら素敵だから、月の土地を買ったんだ。」

「は?」


久しぶりのデート、カフェでランチの最中に突然シゲが言い放った。


「ほら、これが土地の権利書」

「ふ、ふーん。でもシゲがひいお祖父さんて…」

「うん、カナとのひ孫って事。」


ニヤリと笑顔。シゲご自慢の白い歯がむき出しになる。


「カナ、結婚しよう!」


私のフォークから、エビフライがぽとりと落ちた。




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