七色マーブル【短編集】
あれから3年。


どうせなら月の土地じゃなくて地球の土地を持った人が良かったなぁ、なんてため息を付く事なく、平々凡々ナイル川の流れの様にゆったりまったりと暮らしている。


時たま私が涙の洪水で川を氾濫させる事があったり無かったりはしたものの、これと言って大きな危機もない。


シゲが風呂上がりに全裸でふらふら歩くのも、いびきも寝言もすっかり慣れてしまった。


…慣れてしまった


嫌、慣れるのが悪いという訳ではなくて、他人と家族の境界線はすっかり消えてしまったんだなぁという事。


嬉しいと言えば嬉しい。でもちょっとアレだ、新鮮さよどこ行った?なんだか既に老夫婦の気分だ。


やー、不満ある訳じゃないよ?ただたまには付き合ってた頃の気持ちを思い出したいっていうかさ、なんでなんだろ?


旅行で行った洞爺湖も楽しかったし、結婚記念日には人気のレストランにも行ったしなぁ。


あ?


…分かった


全部私から誘ってる。昔はどっちかっていうとシゲからさ。


………。


私、誘われたいんだ。


えーもー、


誘われれるのが好きだ。
ワガママです。
だって女ですから!


…なんかのCMみたい
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