七色マーブル【短編集】
「クソッ、奴らにバレた。死にたくなければ走れ!」


男は言い終わらないうちに私の手を引き、走り出す。

容赦なく身体の上や横を過ぎる銃弾。

前を走る男が懐から銃を取り出し、振り向きざまに応戦する。

「ギャアア!」

後ろから響く叫び声。

頭がパニックになりながら、必死に走った。


死にたくない!!


「乗れ!」

表通りに停めてあった、輪状のエンブレムが付いた黒い車に滑り込む。

急発進で頭がフロントガラスにぶつかる。

すぐに現れたバイクの追っ手。

「クソッ、頭を低くしてしっかり掴まれ!」

信号はおろかセンターラインすら無視で、ジグザグに縫って走る車。

後ろで衝突、炎上する敵の車。破壊される屋台やショーウインドウ。

追っ手はまだいる。

「クソッ!」

運転席の男の肩から、真っ赤な血が吹き出ていた。


自分はもう死ぬかもしれない。そう思った。


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