七色マーブル【短編集】
「いえね、先日のような危険な事にはなりませんよ。受け渡しだけですからね。大体貴女が持ち出したりしなければあのような事には…」

「お断りします。」


だーれがそんな怪しい事をやるもんかっ!


「おやおや、いいのですか?失礼ながら少し調べさせて頂きましてね。こちらのお店、経営が思わしくないのでは?ちなみにもうすぐそこの大きな通りに『ブックオホホ』が出来るらしいですよ。あんな大手のチェーン店が建っては大変ですよねぇ?こんなに趣があって落ち着いた素敵な店なのに…残念ですよ。」

「うっ…」


追い討ちの一撃。


「何もただでやれとは言ってないのですよ。謝礼もキチンと…ねぇ?」


顔デカが不敵のウィンクを飛ばす。


私は生つばをゴクリと飲んだ。


「では、良いお返事お待ちしておりますよ」


私の肩を撫で回すように叩いて店を出る顔デカ達。




店の存続か?、平和か?


さあどうする?


どうする、私!?







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