七色マーブル【短編集】
木々の葉が抜け落ち、道の両端に絨毯を敷き詰め終わる頃、父が突然他界した。


「ついこの間まで元気だったのに、わからないものね」


妹がつぶやく。


「そうだな。」


兄が答える。


「じゃあ急いで白玉粉とお布施の袋買ってくるから。葬式の打ち合わせ頼むよ」


俺は玄関へ向かう。


後ろからパタパタと小刻みな足音が聞こえてきた。


「パパ、ゆーとも行く」

「んー、ごめんな。パパはちょっと忙しいから、ママのお手伝いをしてあげてくれないかな?」

「…わかった」


少しだけ不機嫌な息子に見送られ家を出た。


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