七色マーブル【短編集】
「なんだよ、どうしたんだ」

「座ってよ」


2人は葬儀屋と打ち合わせをしていた筈だ。兄は腕を組み、葬儀屋は少し困った顔をしている。


俺は畳の上にあぐらをかいた。


「お父さんの棺桶なんだけどね、これどうかなと思うのよ」


妹がパンフレットを広げ、目の前に差し出す。


「…ダンボールの棺桶?」

「そう、ダンボールの…」

「いくら何でもダンボールは無いだろう!親父の葬式なんだ。最期くらいきちんとした…」


妹が話し終える前に兄が言う。そしてまた妹が割って入る。


「何よ、形にばかりこだわって。いい、ダンボールは環境にいいのよ。木棺と比較して、燃やした時の二酸化炭素排出量約50%も削減なんだから!それに1棺利用すると10本も植林が行われるのよ。父さんは自然が好きだったし人のためになるならって、生きていたらきっとダンボールを選んでいた筈よ!」


生保レディ、営業仕込みのマシンガントークは今日も絶好調だ。


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