七色マーブル【短編集】
「ね、やっぱりダンボールよね?」

「だから何度も言わせるな、エコなんていいんだ。葬式への取り組む姿勢だよ、最後はきちんと桐箱にでもだな…」


口論は激しさを増す。そして想像通りに矛先は…


「…ダンボールよね?」「…桐だよな?」


こちらに来た。

2人が膝を立て歯茎をむき出しでジリジリと迫り、俺に黒い影を落とす。

葬儀屋が思わず立ち上がった。




「おじーちゃんのお腹冷たいよ」


場にそぐわぬ、のほほんとした高めの舌たらずな声がする。


いつの間にか悠斗が部屋に入っていたらしい。


大きな声がしたので、気になって来たのだろう。


布団をめくり、親父の遺体をぺたぺたと触っている。



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