七色マーブル【短編集】
「あ、ああ…悠斗。おじいちゃんはね、コワい姿に変身しないように体を冷やしているんだよ」


隣に移動して悠斗の手をそっと親父から離し、布団をかけ直した。


「ふぅーん」


不思議そうに親父を見つめる悠斗。


「おじいちゃんきっと寒いよ。かわいそうだからダンボールに入れてあげようよ!ダンボールってあったかいんでしょ?」


明るく、溌剌とした声だった。


親父にとって悠斗は1人きりの孫だったので、正に「目に入れても痛くない」程の可愛がりようであり、悠斗もまたそんな祖父を慕っていた。


だがそれと同時に、兄も妹も自分達の息子の様に悠斗を可愛がってくれていた。


その結果、悠斗の一言により棺桶をダンボールにする事となり、誰も異論を挟まなかった。


< 68 / 71 >

この作品をシェア

pagetop