七色マーブル【短編集】
式には親戚以外にも、友人、近隣住人、国鉄時代の人間など大勢来てくれた。


遺影の、少し若い親父は確かに微笑んでいる。


俺達も一緒に、笑って集合写真を撮る事にした。


多くの人間に愛された親父はそうして、出棺の時を迎えた。


立派な黒塗りの車に乗せられ火葬場まで移動し、釜に入れられる。


この瞬間は何度経験しても慣れないものだ。棺桶の中にあるものが、魂が抜けた後の単なる抜け殻だとしても、俺達の知っている親父の姿が消えてしまう瞬間には違いないのだから。


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