七色マーブル【短編集】
お骨を拾い上げ、葬儀場へと戻るバス発車時刻までの短い休憩時間、何となく中庭のベンチに腰掛ける。
ポケットにしまい込んだ、クシャクシャの煙草の先にチリチリと火をつける。
良く晴れて澄み切った、穏やかな空だった。
葉の抜け落ちた無骨な木々が、空と地を繋ぐ。
もし自分が死んだら、どんな箱に何を入れてもらえるのだろうか?
そんな事が頭に浮かんだ。
深い溜め息。
まだ途中だというのに、何かを遂げた様な疲労にも似た虚脱感を覚えた。
何も終わっちゃいないんだ。
思いながらもジワリ、喉元の辺りにこみ上げてきた。
「パパー!ここにいたのー?」
遠くから飛び込んで来た悠斗の声にハッとした。
「ねぇパパー、おじいちゃんもう木に生まれ変わったかなー?」
小走りで近づいてくる悠斗。
生まれ変わった…か。
輪廻転生、そんな事は信じちゃいないが、それも悪くない…
俺は立ち上がって駆け出し、悠斗を思い切り抱きしめた。
「パパー、痛いってば!」
終
ポケットにしまい込んだ、クシャクシャの煙草の先にチリチリと火をつける。
良く晴れて澄み切った、穏やかな空だった。
葉の抜け落ちた無骨な木々が、空と地を繋ぐ。
もし自分が死んだら、どんな箱に何を入れてもらえるのだろうか?
そんな事が頭に浮かんだ。
深い溜め息。
まだ途中だというのに、何かを遂げた様な疲労にも似た虚脱感を覚えた。
何も終わっちゃいないんだ。
思いながらもジワリ、喉元の辺りにこみ上げてきた。
「パパー!ここにいたのー?」
遠くから飛び込んで来た悠斗の声にハッとした。
「ねぇパパー、おじいちゃんもう木に生まれ変わったかなー?」
小走りで近づいてくる悠斗。
生まれ変わった…か。
輪廻転生、そんな事は信じちゃいないが、それも悪くない…
俺は立ち上がって駆け出し、悠斗を思い切り抱きしめた。
「パパー、痛いってば!」
終