七色マーブル【短編集】
俺は奴を肩に担ぎ上げた。

「じゃ、連れて帰るわ。」

「え、ええ…」

キョトンとしているミズ・ハサウェイ。

「あ、今の映画に出てた女の元夫役の俳優の名前、知らないかな?」

「ええ、あれはケビン・ベーコソよ。」

「あぁ、ベーコソか!ありがとう。じゃあミズ・ハサウェイおやすみ。」

「ええ、おやすみなさい。」


ミズ・ハサウェイのにこやかな笑顔に軽く手を振り映画館を後にした。


外にはうっすらと、霧が辺りを包んでいた。

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