王太子殿下の溺愛遊戯~ロマンス小説にトリップしたら、たっぷり愛されました~
今夜のエリナは、キットが仕立て屋に注文を付けて作らせた、青いドレスを着ていた。
キットの瞳の色をそのまま映したようなベルベットでてきたビスチェタイプの胸元に、シースルー生地が付けたされ、剥き出しのデコルテを覆っている。
エリナの黒髪とドレスの落ち着いたシルエットは、品のいい淑女的な雰囲気を演出し、丸い頬に影を落とす伏し目がちな長いまつ毛はさらに憂える横顔を魅せる。
しかしキットが心配した通り、透けて見える白い肌はやけに艶かしく、そのアンバランスさがまたたまらなく魅力的だった。
キットが誇らし気に、そして半分威嚇するようにエリナの腰を抱いて離さないので、皆は彼女のドレスを褒め、来シーズンにはデザインを真似たものを作りたいと言った。
「来シーズンからシースルーが流行っちゃうかも」
「まあいいんじゃねーの。そんな胸の開いたの、好きな女が着てるとこなんて他の男には見せたくないだろ、普通」
「……キットのわがままなのに」
エリナだって露出が多いものを着たいわけではないが、こんなふうに目立つくらいなら流行りに従っておきたかった。
咎めるつもりで軽く唇を尖らせて見上げたのに、キットはいたずらっぽく、どこか嬉しそうに笑った。
「いいんだよ、王子だから」