王太子殿下の溺愛遊戯~ロマンス小説にトリップしたら、たっぷり愛されました~
それなのに弥生は、これは妙案とばかりに、頭をひねって何かを考え始めた。
おそらく、瑛莉菜を小説の中へ送り込む方法だ。
冗談じゃない。
「やよい先生! 私もう二度と、あんな体験イヤですからね!」
「え〜、いいじゃない。おかげで大好きな稀斗くんに出会えたわけだし。今回もイイ男とのシーン、大量に盛り込んであげるからさ」
そこでチラリと稀斗のほうを見て、ニヤリと笑ってウィンクをした。
「前回よりもっと濃厚なラブシーンもサービスするよ」
「おい待て、俺も行く」
弥生に挑発されてまんまとソファを立ち上がった稀斗に、瑛莉菜は泣きたくなる。
「ちょっと待って! 私は行くなんて言ってない!」
「まあまあ、これも原稿のためだよ」
言質をとった弥生はほくほく顔でパソコンに向かい、もう瑛莉菜の話を聞く気はなさそうだ。
何かネタを思い付いたのか、プロットをつくり始め、ルンルンと鼻唄を歌いながら設定を練る。