王太子殿下の溺愛遊戯~ロマンス小説にトリップしたら、たっぷり愛されました~

恋人である自分が言うのもなんだが、女の子ウケする見た目と、仕事もできて飾らない性格を持ちながらも、瑛莉菜だけをまっすぐに好きでいてくれる。

庇護欲が強くて、たまに軽い嫉妬を見せたりもするけど、浮気はしないと思う。


そんな稀斗と出会って恋に落ちたのは、まさにあの小説のおかげだった。

稀斗のような男が、どうしてこんなにも自分を大事にしてくれるのかと、あまりの溺愛に不安になることすらある。


稀斗が会社でもモテモテで、密かに狙っている女の子がいっぱいいるらしいということは、それを瑛莉菜に伝えておもしろがる弥生から嫌というほど聞かされていた。


一方で稀斗の職場でも、どこから漏れたのか、あの竜田稀斗にとうとう彼女ができたらしいという噂が飛び交っている。

仲のいい同僚などは、稀斗を射止めた女性なら絶対に美人であると信じて疑わない様子で、しきりに紹介しろと詰め寄ってくるのだ。


しかし、かわいい瑛莉菜をわざわざ同僚の目に晒してやるつもりは毛頭ない。

他の男が彼女に関して騒いでいるという情報など、彼女の耳に入れてやる必要もないことなので、それは瑛莉菜の知るところではなかったのだが。


「ごはん、できてるから」

「んー」


とにかく今日はふたりにとって大きな意味をもつ小説の発売日だったので、瑛莉菜はいつもより気合を入れて夕食をつくった。
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