王太子殿下の溺愛遊戯~ロマンス小説にトリップしたら、たっぷり愛されました~

王座の間にはいくつかの扉があり、部屋の外をぐるりと廊下が囲っていて、その先にあるバルコニーから外階段を伝って中庭に下りることができる。

ウィルフレッドは扉の近くまで来ると、足を止めて少し興奮した様子のエリナを見下ろした。


彼女にとってはじめての舞踏会だし、ウェンディを探すという任務を負っていることもあると思うが、どこかいつも以上にいきいきとして見える。


「うまくいったら、エリーのことも紹介するから。くれぐれも楽しみすぎないようにね」

「ウィルフレッドさまはいつも存分にお楽しみなのに」


ウィルフレッドは本気で心配して言ったというのに、エリナは肩を揺らしてくすくすと笑う。


今夜のエリナはその瞳の色に合わせた空色のドレスを着ていた。

女性にコルセットを着ける習慣はもうほとんどなく、その代わりに胸元が大きく開いて高い位置に切り返しがあるドレスが流行である。


エリナの空色のドレスは装飾の少ないシンプルなデザインで、胸下は豊かなドレープでふんわりと広がるシルエットのものだった。

エリナははじめオフショルダーで広く開いた胸元を恥ずかしがったが、今では舞踏会の雰囲気にあてられたのか、あまり気にならなくなってきていた。
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