王太子殿下の溺愛遊戯~ロマンス小説にトリップしたら、たっぷり愛されました~
抵抗するべきなのか、しないべきなのか。
ランバートの言う通りにすれば、ラズベリーを手にするためにこの男の自分への興味を利用することができるだろうか。
どうすることもできずにたださせるままになっていると、ランバートのもう片方の手が自分の仮面を外した。
頬に添えられた指先に少し力がこもり、緑がかったヘーゼルの瞳が現れる。
その淡褐色の瞳と目が合った瞬間、エリナは息を止めてランバートの顔を食い入るように見つめた。
「さあ。ウィルフレッド・ランスは、お前とラズベリー、どちらを選ぶかな?」
薄く笑ったランバートが、ふたりの距離をさらに縮めてくる。
ランバートがエリナの身とラズベリーを引き換えにしようとしているのは明白だった。
ランバートがどこまで求めているのかはわからないが、エリナが応じればラズベリーが手に入る。
まさか、この歳の男がダンスを踊っただけで満足するとは思えなかったが。
エリナは近づいてくるランバートの唇に一切抵抗を示さなかったが、それは抵抗しなかったのではなく、できなかったからだった。