降り注ぐのは、君への手紙


ヨミタケ郵便局で、私がもらったお仕事は便箋づくりとお茶くみだ。
武俊くんがずっとやっていたことなんだって。


「妃香里さんはその後鬼火は大丈夫ですか?」

「はい、多分」

「一度宿った鬼火は消えることはないんです。凄く小さくはなっているんですが、いつまた灯るとも限りませんからね。そういう意味では、僕の傍にいてもらえるのは監視の意味ではいいことです」

「そうですね」


私がここにいるのに、もっともらしい理由を付けられて、ちょっと不満だ。
監視なんて色気のない言葉は、少しつまらない。

でも、不満とともにちりちりと胸の奥が熱くなるのは、鬼火のせいかもしれない。
確かに気をつけないと、と私は深呼吸をする。


考え事をしている内に、ヨミさんはいつの間にか鏡の前に移動していた。

人に便箋づくり押し付けておいて暇そうにしないで欲しい。

でも、鏡面を覗きこんでいる顔があまりに嬉しそうだったので、黙っていた。


「あ、ほらねぇ。妃香里さん、見てください」

「はあ」

「笑いましたよ、可愛いものですねぇ」


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